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金沢とか、世界遺産とか。(前編)

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ふたりで行った場所、

ふたりでまだ行ってない場所。

 

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電車の旅は、谷村新司のJRのCMを思い出す。

僕らもそのうちCMの老夫婦みたいになって、

むかし行った場所を旅するんだろうか。

 

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「そういえば金沢にはまだ、行ったことなかったよね?」

 僕がそう言うと、相方が指先をパチンと弾いた。

  

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近江町市場は人でいっぱい。

新幹線効果なんて言うけれど、もしそれが本当なら新幹線ってやっぱりすごい。

完全に街のキャパシティを超えている。

 

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鮎なんて昔は苦くて食べられなかった。

いまは、この苦みがたまらない。

相方と出会って、食の好みも変わった。

おおげさかもしれないけれど、世界が広がったと言っていい。

 

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ガイドブックにも載っていない神社で、願いごと。

ふたりの今のこの生活が、いつまでも続きますように。

 

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想像する。

僕らはどこまでいけるんだろうか。

いつまでも続くような気もするし、案外、唐突に終わるような気もする。

「ごめん、ほかに好きな人ができたんだ」

そんなことを言われる日が、いつか来るんだろうか。

幸せを得るということは、失う怖さと戦うということでもある。

 

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尾山神社。

ガイドブックには「利家とまつ」ゆかりの神社だって書いてあった。

僕らはドラマを見ないから、よくわからないんだけれど。

 

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おみくじ引いたら末吉だった。

「納得のいかないことも多いが決してくさらずに根気よく」

 

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金沢といえば寿司なんだそうだ。

回らない寿司、ランチひとり3千円也。

「思い出はプライスレス」というコピーは最強だと思う。

 

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相方は「ちがうちがう、寿司はこういうふうにして食べるんだよ」と、

講釈をたれる人なので困る。

「うっせえ、オレはシャリにどっぷり醤油をつけるのが好きなんだよっ」

 

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21世紀美術館は2時間待ちだった。

 

長蛇の列に並んでる人を見ていたら、「あいつらバカだなー」と思った。

相方も「あいつらバカだなー」ってつぶやいた。

  

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というわけで完全にめげて、外側の無料のエリアのみ散策。

 

アートなんて、「そういうのが好きな自分」に酔いしれるものだ。

こんなに人がいっぱいじゃ、酔いしれることなんてできやしない。

  

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兼六園に来ましたよー。

 

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兼六園に来たのは学生の頃だったかな。

大学の友人と来たような気がするけれど、もう20年も昔の話だし、

ぼんやりとしか記憶しかない。

記憶ってやっぱり薄れていく、びっくりするくらい着実に。

 

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庭そのものは、あの頃と何も変わらないはずなのに、

全然ちがって見えるもんだなあ。

季節とか、年齢とか、一緒にいる人とか、そういう二次的要素で。

 

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 「このぎんなんのお菓子が美味いんだよ、ほら食ってみ、ほら」

 

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「んー、まずくはないけど」

「なんでわからんかなあ、この美味さが」

 

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こういう街を歩いているとよく思うんだけれど、

 

世の中は変われ変われ、変わることはいいことだ、

みたいなムードがあるけれど、

変わらないことのほうがよっぽど難しいし、努力のいることだと思うんだけどなあ。

 

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ふふっ、

主計町(かずえまち)の割烹を予約してたんですよ。

ふたりでネット見ながら、あーでもない、こーでもないと、

2時間かけて探し出したお店です。

 

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「おばあちゃんの家に来たみたい」なんてよく言うけどさあ、

みたいな話をしていたら、

新しく入ってきた客がそっくりそのままそう言っていて笑ってしまった。

  

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幸せ、てのはやっぱり、

パートナーでも子供でも友人でも、それは人それぞれなんだろうけれど、

ちゃんと大切な人がいて、その人とごはんを食べてる、

そういうときにじんわり溢れてくるものだと思うわけです。

 

つまりポイントは、ごはんだと思うわけです。

酒があればなおさらです。

 

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僕は、ほろ酔いのときの相方がいちばん好きだ。

うひひひ、と、品のない笑い方になる。

そして「聞いて聞いて!」が口癖になる。

僕がいちばん、知っている。